バリ島で邦人被害急増
捜査強化を要請
日本大使館在インドネシア日本大使館デンパサール事務所はこのほど、バリ島の警察長官 に対し、邦人観光客が巻き込まれる事件が多発しているとして捜査体制を強化 するよう異例の要請をした。日本側の要請直後に地元紙が「日本が危険情報を 検討中」などと報じたこともあり、観光協会は再発防止策の検討を日本側に持 ちかけるなど、イメージダウンを避けようと躍起になっている。
デンパサール事務所によると邦人被害で目立つのが女性への暴行事件。過去半 年で5件が発生(同事務所への届け出分のみ)。通年でも1、2件程度だった 従来に比べて大幅に増加した。
そのほか置き引きやスリ、ガイド代として不当な金額を要求されたり、白昼、 強盗や引ったくりに遭うケースも増えている。警察の対応も不十分で、逮捕直 後の容疑者が家族の要請で釈放されたケースもあったという。
日本の外務省は、インドネシア各地に危険度1から4の渡航情報を出している が、バリ島とビンタン島は除外されている。
外務省がバリ島に海外危険情報を出せば、全観光客の約2割を占める日本人旅 行者(2001年は合計36万人)が激減する可能性もある。
畠薫デンパサール駐在官(領事)は「犯罪の悪質化は目に余る。最後の手段と して(危険情報を出すことも)考えなければならないかもしれないと伝えた」。 同時に「今すぐに(危険情報を出す)という話では全くない」と語り、警察の 今後の対応を注視する考えを明らかにした。
日経新聞2002年4月3日夕刊から関連情報: 外務省「一般渡航者向け海外安全ホームページ」 http://www.pubanzen.mofa.go.jp/